
展示空間で「私」を存続できるか。 佐原しおり評 関優花「私をばらばらに説明する」
長時間にわたり、ある身体的な行為を繰り返すパフォーマンスを展開してきた関優花。その個展「私をばらばらに説明する」が、約2年ぶりの再始動となるノマドギャラリー「ナオナカムラ」で開催された。展示空間内において、「私」という個人を「女性」「パフォーマー」「アーティスト」といった単純な属性にカテゴライズされず表現することは可能だろうか。本展を埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

長時間にわたり、ある身体的な行為を繰り返すパフォーマンスを展開してきた関優花。その個展「私をばらばらに説明する」が、約2年ぶりの再始動となるノマドギャラリー「ナオナカムラ」で開催された。展示空間内において、「私」という個人を「女性」「パフォーマー」「アーティスト」といった単純な属性にカテゴライズされず表現することは可能だろうか。本展を埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

現代の生命科学論的な思索にもとづき、コンピュータ・シミュレーションによって生まれる自己組織的なプロセスやパターンを作品のモチーフとする村山悟郎。本展では代表作の織物絵画を展開させ、たんぱく質のフォールディングにおける、3次元構造が折りたたまれる生成過程を参照した新作を発表した。キュレーターの四方幸子が新たな展開を中心に読み解く。

ポーラ美術館の「Connections―海を越える憧れ、日本とフランスの150年」は、日本とフランスという2国間の芸術交流をテーマにした展覧会だ。同館の収蔵作品約80点に国内外からの借用作品約50点を加え、大量のモノや情報、人の往来が可能となった時代に培われてきた双方の芸術を検証する同展。ここでは展覧会の導入部に展示された荒木悠の作品を軸に、展覧会のテーマ全体を考察する。

美術批評家の椹木野衣が企画・監修するグループ展「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ) 1989-2019」が、京都市京セラ美術館で開催されている。平成日本の美術史をアーティストグループの活動から振り返る本展を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

東京・銀座の資生堂ギャラリーにて、同社による公募プログラム「shiseido art egg」の入選者のひとり、藤田クレアによる個展が開催された。様々な素材を組み合わせたインスタレーションにより、世界における差異やコミュニケーションのあり方を想起させる作家による試みを、アート・トランスレーターの田村かのこがレビューする。

「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」をモチーフとするアーティスト・大山エンリコイサムの個展「夜光雲」。神奈川県民ホールギャラリーでの過去最大級となる大山の個展を、横浜美術館館長の蔵屋美香が作品の持つ構造と身体性から論じる。

2017年以降国内外での発表が相次ぐ泉太郎が、2020年9月にスイス・バーゼルのティンゲリー美術館で個展「ex」を開催。本展は、ネットワーク社会における「クラウド=雲」をテーマとした新作を軸に行われた。タイトルにも冠された「ex」をキーワードに、アーティストのキャリア、そしてその作品を貫く態度について清水穣が論じる。

コロナ禍のなか、全面的にオンラインで開催された「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2020」と、佐渡島内の複数箇所で行われ来年本開催を予定する「さどの島銀河芸術祭プロジェクト2020」。「現代山形考〜藻が湖伝説〜」といったプロジェクトを含む前者と、PCR検査を導入したライヴなどを開催した後者のあいだの共通点とは何か? 椹木野衣がレビューする。

「翻訳」をコミュニケーションのデザインとしてとらえ、情報学研究の立場からドミニク・チェンが企画した本展。「互いに異なる背景をもつ『わかりあえない』もの同士が意思疎通を図るためのプロセス」としての翻訳の可能性を考えようとする挑戦的な内容を、物語論や言語哲学への関心を軸として制作する、アーティストの大岩雄典がレビューする。

3月に開館30周年を迎える芦屋市立美術博物館が、2020年9月から11月にコレクション展を開催した。30年の歩みのなかで収集してきたコレクションの全作家126名の作品群から、本展の企画協力者である福永信が選出し、学芸員が展示構成した約190点。同館をかたちづくる膨大な作品群と鑑賞者が対峙する空間において、本展ではどのような工夫がなされたのか? キュレーターの小金沢智がレビューする。

TALION GALLERYで開催された温田山、NAZE、大岩雄典による「一番良い考えが浮かぶとき」展。その関連動画としてYouTubeにて公開された本作は、会期中にあらわれた霊に、イラストレーターの山本悠と、大岩が迫るというもの。いくつもの伏線を抱えた本作の謎解きに、美術批評家の中島水緒が挑戦する。

東京・銀座の画廊香月にて、1950〜60年代に活動した前衛美術集団「九州派」の展覧会が開催された。九州を拠点としてアート界のヒエラルキーに挑戦した彼らの活動を、いま考える意義とは? 文化研究者の山本浩貴がレビューする。

石内都、大塚勉、今道子、髙﨑紗弥香、田附勝、中村綾緒、野口里佳、野村恵子。それぞれの作品世界も、世代も異なる8作家の新旧作品を「皮膚」というキーワードで組み合わせた企画展。厳選された作品群が描き出す“光と闇”、“生と死”の気配は、いま我々に何を想起させるだろうか? これまで写真展も多く手がけてきた、アーツ前橋学芸員の北澤ひろみが批評する。

男性優位構造のアート界に横行するジェンダーアンバランスや相次ぐハラスメント。この状況に対し、岩崎貴宏企画のもと16組のアーティストが展覧会というかたちで声を上げた。「カナリアがさえずりを止めるとき」と題された本展を、キュレーターの檜山真有がレビューする。

2020年6月から7月にかけて東京・六本木のシュウゴアーツにて開催された、アンジュ・ミケーレの個展「イマジナリウム」。 アルミの紙に円を描いたシリーズ「circle」を始め、24点近くの新作絵画がコロナ禍で発表された。同展が提示した精神性とこれからの時代への希望を、キュレーターの長谷川祐子がレビューする。

写真、彫刻、建築的介入からビデオ作品、インスタレーションまで多岐にわたる作品を手がけることで知られるアーティスト、ダグ・エイケン。その個展が、東京・表参道のエスパス ルイ・ヴィトン東京で開催されている。本展で展示されるのは、映像インスタレーション《New Ocean: thaw》。自然の氷河などをモチーフにしたこの作品が、現代に問いかけるものとは?

写真や映像、立体など様々なメディアを組み合わせたインスタレーション・アートを手がける武田雄介。「暴力的な現在を暴力的に切断」する試みとして開催された個展「眺望力」は、見る者にどのような洞察を促しただろうか。本展をキュレーターの檜山真有がレビューする。

美術手帖では、批評家や学芸員らによる展覧会レビューを毎月掲載。そのなかから、11月に公開された全11本をお届けする。各レビューの詳細はリンクから全文をチェックしてほしい。

今年開館した弘前れんが倉庫美術館にて、開館記念プログラムとして小沢剛による個展が開催されている。フィクションを織り交ぜ歴史上の人物をめぐる物語を描く「帰って来た」シリーズが一堂に会した本展を、文化研究者の山本浩貴がレビューする。

東京都美術館で開催された「都市のみる夢」は、アーティスト・コレクティブ「tmyc」による企画だ。都市に暮らす人々を「都市のみる夢」の住民ととらえ、中島りかとミズタニタマミがインスタレーション群「夢の蒐集」を披露した。詩人で情報科学芸術大学院大学(IAMAS)准教授の松井茂が、同展のカウンター・エキシビジョンとしての性格をレビューする。